ウガンダでは、数年前までGraduated Taxという税金がありました。累進課税制度のことではありません。
この税金を徴収するのは市役所ですが、徴収の仕方が乱暴だったために、とても悪名高い税金でした。
先ず、徴収対象の定義がいい加減で、主に成人男子が対象になっていたようです。収入があろうがかなろうが、成人男子からは強制的に徴収していました。その反面、女性は定収入のある人でも大目に見られることが多く、とても不公平でした。
各市役所に収めるのが基本なので、地方出身者はカンパラより安くで済む自分の出身地で払うという選択肢もありました。カンパラ在住で年に幾度しか出身地に帰らない人もそうしていました。住民登録制度がないことを有利に使った抜け道でした。
地方都市での徴収方法を私は知りませんが、カンパラでのやり方は横暴を極めていました。税金の徴収の通知などは一切せずに、ある日突然路上で検問を始めます。しかも、この検問を朝の出勤の時間帯にやるので大渋滞になるのですが、そんなことは全くお構いなしでした。制服も着ず、身分証明も持たずに、本当に市役所の職員かどうかも分からない人たちが、路上で横柄に振舞っていました。
その場で、納税証明ができないものは全員逮捕されます。捕まった現場に家族からお金を持ってきてもらう人もいれば、手持ちもなくお金を貸してくれる人もなく、そこから刑務所に連れて行かれる人もいました。現場にトラックが迎えに来るのですが、その荷台に大勢が乗せられていく光景は今でも忘れられません。私ももう少しで乗せられそうになったことがありました。
職種、役職によって支払う金額が変わるのですが、それも現場にいる職員かどうか分からない人たちの勝手な憶測で決められていました。現場での賄賂も横行していました。賄賂で逮捕を逃れる人もいれば、納税証明を実際の金額より安くで買い取ることもできました。
悪税の代名詞だったGraduated Tax、なくなって本当に良かったと思います。市役所の歳入が減ったのは残念ですが、もともと市民が払った金額のいくらがちゃんと市に収められていたかも分からないような税金ですから、あってもなくても同じようなものだったのでは、と思います。