南スーダン 連行 その1

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今回の南スーダンへの出張の目的は、ツアーの下見と取材のネタ探しだった。

物事が上手く進まない国であるのは、重々承知していたので、少し余裕を持たせて1週間ほどの滞在予定をしていた。のだが、意外にあっさりと短い出張になってしまった。

7月に出会った現地手配会社と何度もメールで打ち合わせて、次に入ったのが9月の下旬。

南スーダンでは観光者でも撮影許可を取得する必要があるとのことで、9月下旬の際、到着後直ぐに許可の申請をした。1時間以内で終わると聞いていたのが、4-5時間かかっても発行されず、その日は朝の便でジュバに入ったのだが、夕方の便でエンテベに戻った。実際には、発行に1週間ほどかかったので、あの日に日帰りでウガンダに戻ったのは成功だった。そこら辺の見極めは私の得意とするところだ。

で、許可が発行された、との連絡を受けて、9月末に再度ジュバに入った。到着当日にジュバから100キロほどの街に移動する予定だったのだが、ジュバに入る飛行機が3時間ほど遅れたため、その日はジュバ宿泊に変更する。ジュバに着いて現地手配会社の南スーダン人と合流するが、土曜の午後だったためか、彼は既に出来上がっていてお話しをするのも少し大変なくらいだった。お話しをしても得られるものはないと見切りを付けて、当局からの撮影許可を受け取り、自分の泊まるホテルに戻ることにした。

運転手君が街中を運転しながらジュバの街の説明をしてくれて、路肩にある茶屋でお茶を飲もうという。街中の道路の脇にテーブルとコップが置かれていて、その脇でお湯も沸かして、お茶をいれてくれるという南スーダンならではのお茶屋さんだった。隣には、水タバコを吸わせてくれるお店もある。他のアフリカとは違うなーと思い、撮影させてもらうことにした。茶屋のおばちゃんは快く引き受けてくれた。

で、写真を撮り始めたところで、客席にいた男性から声がかかった。誰が撮影の許可をしたのかという。アフリカでは良く耳にする質問だが、南スーダンは観光者でさえ許可が必要な特殊な国だ。慎重に行動しなければならない。取得した撮影許可の有効性も確かめたかったこともあり、ここから警察署に連れて行かれるのも良いかもしれないと楽観的に思った。同席していた運転手君がなにやらアラビア語で彼らと話しているが、なかなか終わりそうにない。そうしているうちに、関係者と思われる車も到着し、取り囲む人数が数名に増えてきた。皆、穏やかな感じでは全くない。

アラビア語で皆が話している。皆私服なので、彼らが本当に当局の関係者なのかも分からず、身分証明書を出せと言われるが、路上で身元も良く分からない人に書類の原本を取り上げられるのは不安なので、現物は署に着いてから見せようと思い、黙って様子を見守ることにした。それが面白くなかったのか、額に通過儀礼の傷のある若い男性が物凄く怒り出して、カメラを出せという。額に傷のある人(以下、ヒタイギャー)が怒ると怖い。カメラを差し出すのは惜しい気がするが、自分の命はもっと惜しいので、カメラを渡す。

続く。

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