アフリカでの商売、第4回目は「谷を凌ぐ」。
いうまでもなくアフリカの国々の経済基盤は弱い。援助依存型で、市場や内需は小さく、それに政治的な不安定さ、治安の不安定さも加わる。
アフリカで10年、20年と長期間商売をやっていると、どうしても幾度かの谷を経験することになる。その原因は、治安だったり、政治だったり、一企業の努力ではどうにもならないことが多い。実際に、テロ、暴動、ゲリラ活動などが度々アフリカの国々で起きている。谷を凌げない場合は、撤退するか、会社が倒産するかということになる。
なので、アフリカで商売をするということは、いかにこの谷を凌ぐかというのが焦点になる。何かに特化しない、固定経費は極力低く設定する、広く浅く展開する、調子が良くても勝負をしない、というような、大儲けはしなくていいので、とにかく会社が死なない堅実なやり方が良い。
市場の大きさからして大当たりすることは少ない市場で、どちらかというと成功することよりは、失敗しないことの方が重要視される市場だと思う。ただ、アフリカでの成功者たちも、時代や景気など外的要因に乗っかっただけの人、博打が当たっただけの人も多い。なので、成功者からよりも、失敗者からの方が学ぶことは多い。
自動車レースでいうと、速いドライバーではなくて、強いドライバーを目指す。調子の良い時は優勝、調子の悪い時はリタイヤして0点ではなくて、優勝回数は少なくても、毎回表彰台に乗るか確実にポイントを得点する、リタイヤだけは絶対しないというような性格の方がアフリカでの経営には向いている。
日本が拠点なのであれば、その都度アフリカとの取り引きを少なくすれば良いが、アフリカを拠点に商売をする場合は、どうしても谷と直面することになる。売り上げを分散させる、山の時に蓄えを作るなど、業種によって凌ぎ方は違うと思うが、アフリカで長く商売をやっている会社は皆何かしら谷を凌ぐ方法を持っていると思う。