万引きで見たアフリカの優しさ
その日、急に銀行に行く用事ができて、社員のお休みの日だったので、自分で銀行に行った。
先ず、銀行の外にできた列に並ぶ。私の前には4名ほどいた。その銀行は、コロナの関係で一度に銀行のフロアに入る人数を制限していて、時によっては、銀行の外に10人以上も並ぶこともある。銀行とかコロナとか関係なく、私は芋洗い状態が嫌いなので、外で距離をとって並ぶことを好ましく思っている。
そうしていると、保健省の関係者らしき人がやってきて、行内への列、ATMへの列に並ぶ人で、マスクを着用しない人に注意した。注意された人は列から外れた。また、マスクで口や鼻を覆っていない人にも注意をしていた。何か言い返している外国人がいたが、その後皆マスクをちゃんと着用した。コロナの死者が出てから、明らかにマスクの着用率が高くなり、また警察などがマスク着用を指導する姿を見かけることも増えた。
列から離れた人数分、銀行に入れるのが早くなったと内心喜んでいたが、どこかで買ってきたのか、車に取りに戻ったのか、皆直ぐにマスクをして帰ってきて、列の元の位置に戻ったので、結局順番は変わらなかった。もう少し、外で並ばないといけない。因みに、最近銀行でもスーパーでも入り口で毎回手に消毒液を掛けられるのだが、消毒液のケースに触れたくないし、中身も心配なので、私は常に自分の消毒液を持参し、それで手を消毒している。
そうしていると、何か物音がして、一人あまり身なりの良くない男性がふらふらとスーパーから出てきた。お店の人に何か怒られている。身なりの良くない男性はゆっくりと駐車場に向かい、敷地から出て行こうとする。男性は少し酔っているようにも見えた。周辺の皆がそれに注目し、小さな声で笑う人、大きな声で笑う人がいた。おかしくて笑っているだけで、決して馬鹿にしたり囃し立てるような笑いではない。行内にいた警備員も外に出てきて、周りの人に状況を聞き笑っていた。
なにが起きたかを知りたかったので、大きな声で笑っていた女性になにが起きたかを尋ねた。身なりの良くない男性はスーパーで万引きをしようとしたが、見付かって追い出されたのだと笑いながら言っていた。さっき私の聞いた物音は、きっとスーパーの警備員が男性を追い出そうとした時のもので、平手で多少彼の体を叩いたのかもしれない。
万引きを見付けた警備員も泥棒を見て、彼が貧しいことを知っていて、警察に通報したりはしない、ちょっと叩いて追い返すだけ。それを目にした周辺の人たちも、泥棒を白い目で見ることなく、泥棒に失敗し叩かれてよろよろと帰っていく姿を見て笑うだけ。私はそれをアフリカらしい光景だと思った。
これが良いことか悪いことかということではなく、これはアフリカのおおらかさというか優しさだと思う。叩いて追い返した警備員も、それを見て笑った周辺の人も、根っこのところで共通していることは、彼が悪いことをしたのを知っていながら、泥棒に失敗した彼を許していることだ。泥棒に成功していたら許していなかっただろうし、また失敗しても手口が悪かったり悪態をついたりしたら、またこれも許されていなかっただろう。
泥棒は絶対にいけない、暴力は絶対にいけない、という厳しい見方もできるのだが、それをしないのがアフリカなのだろう。久しぶりにアフリカの文化の側面を見たと私は思った。
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コロナ禍で海外へ行けない中、アフリカのお話しが聞けて嬉しいです。
そうそう、昨夜関ジャニクロニクルに出演されてましたね
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名前間違えました
wakiです。
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>wakiさん
ご無沙汰しております。ブログならびに関ジャニクロニカルFをご覧いただき有り難う御座います。いろいろな形でこれからもアフリカ情報を発信しようと思います。