アフリカ回想録2022 予防しない

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かなり前の話だが、地元の会社と商取り引きの話をしていて、問題が起きた際の対応について協議したかったので、その点について話したのだが、取引先の回答はまだ問題が起きていないから考えない、問題が起きたらその時に考える、だった。当時、日本の会社の駐在員だった私はそんな刹那主義のような回答を日本の本社にどう報告しようかと頭を痛めた。

他では、費用は会社負担で社員に健康診断を毎年受けてもらっていた時の話だが、検診に行きたがらない社員がいた。理由を聞いてみたところ、検診で異常が見付かった時、会社は治療費を負担してくれるのかとのこと。健康状態を確認するための検診で、会社は治療費を負担しないと答えた。ウガンダには国民皆保険のような制度もなく、治療費を全額会社が負担するのも無理な話だ。その時、社員が私に言ったのは、治療してくれないのであれば、異常を知ることに意味がない、しかも異常があることを知ってしまうと精神的に負担になるので、検診を受けたくない、とのことだった。会社に治療費を出してもらおうとしている印象も受けなかった。

落とし穴だらけの環境にいることもあり、私は商取引では常に二手三手先を読んでおきたいし、病気に関しては、早期発見早期治療が当たり前だと思っていたので、いずれもとても驚いたのを憶えている。この二つはあくまでも例だが、全般的に、起きるかどうか分からないこと、まだ必要になっていないことに着手すること、無駄になる可能性の高いことをすることを極力避ける傾向は強い。あと、知ることで安心するのか、知らないことで安心するのかという違いがあるのだろう。

基本的に二毛作で且つほぼ年中収穫できる作物もあるウガンダと、一毛作で決まった時期に確実に田植えをする必要があって、それに合わせて事前に苗も作ってきた日本とでは、危機管理の考え方が違っていて当然だ。ただ、アフリカにも食料事情の良くない地域や国はあるし、食料危機は今まで何度もあった中、ここまでアフリカがやり方を変えなかったのは、一つの選択なのではないだろうかと思う。

日本人は計画的で問題が起きないように予めさまざまな対策を行って、立派な社会を作っていて、またそうした方が安心した状態でいられるからそうしているのだろうが、その過程で手間、金銭、物質において結果論的に無駄も多く発生しているのも事実で、資源の消費や環境への影響などを考えると、アフリカの方が合理的で環境への影響も少ないといえる一面もあるように思える。

計画性、貯蓄性がなく経済的に発展していないアフリカに対し、経済的には見事に発展している日本だが、その背景にはさまざまな無駄もあって、実際にとんでもない量の食料や物質を廃棄し続けていることも事実で、怠慢のように見えるアフリカの方が自然の摂理という意味で理にかなっているように思うこともある。

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