10年以上ぶりにお正月を日本で過ごした。
病棟からは出ることはできないが、テレビが見れるし、食事も正月らしいメニューだったので、久しぶりに日本のお正月を味わうことができた。
年末年始の特別番組は面白いものが多く、テレビがつけっぱなしになったどころか、どの局も面白い番組をやっているので、どれを見るか迷ったほどだった。
テレビを見ていて、日本は豊かで平和な国だということをつくづく感じる。あらゆる種類の食べ物の紹介、福袋を買うために前日から列を作る人たちの報道。貧しい国の人たちが見たら、この国の人たちはお金が余ってしようがないと思うことだろう。
環境が良過ぎる。ゲリラもテロもないし、病気が流行るといってもインフルエンザ程度、蚊にかまれても痒いだけ。これでは人間がなまってしまう。本能が退化してしまう。生きていることのありがたさを感じることもない。農業体験で、田んぼに入ってヒルに血を吸われたり、マムシが出てきたりすると、ちょっとは自然を感じることができるだろう。
しかし、それでも根本的な生きることの厳しさを感じることはできない。コンゴ東部やスーダン南部を経験することが、それを最も感じさせてくれると思う。電気、水、トイレ、快適な家、まともな道路、何にもない。病気になっても治してくれる病院がない医者もいない。本当に原因不明の病気もあるし、薬が買えないから簡単に治る病気で死ぬこともある。ある日、突然ゲリラや山賊が出てきて、村を焼かれて殺されても、泣き寝入り。誰も助けてくれない。
はっきり言って、私もそんなところには住めないし、安全だといわれる地域に行くときでも緊張する。だから、実際には他人にもお勧めできない。しかし、そういう体験は生きていくことの厳しさを強く教えてくれる。