毎回、エチオピアに行く度にしたいと思っていたことの一つが、現地語映画の映画鑑賞だ。
アフリカの映画館は、だいたいどこの国でもハリウッド映画を英語でそのまま上映し、地元でできた現地語の映画は殆どない。ただ、エチオピアは3-4スクリーンある映画館でも、全て現地語の映画館があり、家族連れやカップルに賑わう。映画を見たいというよりは、皆がどう映画を楽しむのかを見たくて、映画館に入ってみた。
入場のチケットを買う時に、売り子さんが「アムハラ語ですよ。」と言ってくれたが、はいくださいと言って、チケットを買った。値段は2ドルだった。
観た映画は、恋愛ものと勧善懲悪ものを混ぜたような映画で、派手で可愛らしくて遊び人のお姉ちゃんの恋人(男性)が、ひょんなこと(←けっこう好きな表現)から地味で大人しい妹と出会い、妹と恋に落ちるという内容だった。
日本語でいくら書いても、ネタバレにならないと思うので書くが、「ひょんなこと」の経緯は、偶然その恋人と妹が同じビルの違う階にいて、恋人は上階から階段を降りてきていて、反対に妹は同じ階段を登ってきていて、お互いの不注意でお互いがぶつかり、偶然お互いが持っていた茶封筒が両方とも階段に落ちてしまい、それを拾う時に封筒が入れ替わってしまうというものだった。これを「ひょんなこと」と言わずに、なんというのだろうと思った。
間違って拾った封筒を返すべく、恋人は封筒を開け中にあった書類に書かれた電話番号にかけると妹が出て、自宅までの道案内をしてもらうのだが、近くまで来て本当に姉の同じ家であることに気付く。恋人は姉との関係性を断ち、妹になんども断られながら、妹と付き合うようになる。
気の強い姉は、この恋人に何度も電話をするが出るが、出てもらえない。ある日、女友達に電話したところで、プリペイドの通話料が切れてしまい、無断で妹の携帯を使って、恋人に電話をしたところ、既に彼の番号は妹の携帯に登録されていて、今まで全然出てくれなかった恋人が一発で電話に出てくれた。
今までも、姉は妹をいじめていたが、それを知って姉のいじめは更に悪化していく。ただ、地味で大人しい妹は反抗することなく、いじめられても我慢するだけだった。
映画の会話は、全てアムハラ語なので、私はさっぱり分からないのだが、そもそも分かりやすいストーリーだし、他のお客さんの反応にも助けられ、だいたいのストーリーは分かった。
で、映画の終わりの方、4分の3くらいところで、恋人と妹が外食をしているところに、姉が現れる。そして、妹を罵るのだが、ここで初めて妹が姉に反抗し、何か言い返す。ここは、拍手喝采で皆でキャーキャー騒ぐところと思いきや、まばらにパチパチと拍手の音が鳴っただけだった。それも、周りの皆に共感を呼びかけるような派手な音の拍手ではなく、妹が初めて言い返したことが嬉しくて、「はぁ、やっと妹さんが言い返しはったわー。」くらいの感じで、大人しく静かに自分の喜びを表現した、可愛らしい拍手だった。
その後で、姉は夜な夜な遊び歩いていたことが、両親にばれてしまい、恋人に捨てられた姉は、父親にも叱られてしまう。
最後の場面では、お洒落に着飾り、大人の女の魅力をアピールする妹が現れ、恋人が惚れ直すみたいなことがあり、そこにやけくそ的な姉が現れ、最後に何かしら捨て台詞を吐いて去っていく。ここで、観客の皆がどっと湧いたところで、エンドロールが流れる。
最後の最後まで、何を言っているのかは分からないが、恋愛と勧善懲悪という分かりやすい展開で、すかっと楽しい映画だった。劇場から出てくる皆の楽しそうな笑顔が印象に残った。
あのお姉ちゃんの最後の捨て台詞、何て言ったのか、未だに知りたくて仕方がない。上映が終わる前に、もう一度行ってみようかしら。