ステージに向かってカメラを構える父に、5才の次男が話しかける。
次男「お父さん、トイレに行きたい。」
父「入ってきたところに向かって真っ直ぐ行くと、右手にトイレがあるよ。」
次男「、、、、、、。」
父「一緒に行こうか。」
トイレに着くが、大は全て埋まっている。小便用は次男には高過ぎて使えない。仕方なくトイレを出る。次男は我慢の限界にあるようだ。
父「こっちなら空いてるかもしれないから、行ってみる?」
次男「うん。」
女性用トイレに入る次男。父は用を足しに男性用トイレに戻る。用を済ませた父が出てくる。トイレの前で、次男を待つ。女性Aがトイレから出てくる。
A 「息子さん、まだ中にいましたよ。」
父「そうですか、ありがとうございます。」
2分経過。女性Bがトイレに入ろうとする。
B「あれ、お子さん、トイレの中ですか?」
父「はい、待ってるんですけどね。」
B 「ちょっと見てきますね。」
Aが駆け足で帰ってくる。
A「すみません、息子さん、もう出てました。下で見かけました。」
父「ありがとうございます。」
会場に帰る父。ステージで、司会者に抱きかかえられながら泣いている次男。迎えに行く父。
父「申し訳ありません。」
司会者「とんでもない。」
父は泣く息子を抱え、ステージのライトをまぶしく思いながら、ステージを去る。外国人はたくさんいるのに、なぜ皆私の息子と分かったのか不思議に思う。
「○○XXです。」
場内放送で自分の名前が呼ばれるのが聞こえた。お店の人が話しかけているが、前はぼやけて見えない。
しばらくして母と姉が現れた。
母「申し訳ありません、・・・・・・・・・。」
姉「また迷子だよ、探すのが大変だったよ。」
涙を拭きながら、母と姉と帰る私。
迷子になっても良いから、行きたいところに行きなさい。
迷子になったら探しに行ってあげるから、見たいものを見てきなさい。
片手でだっこできるのも、今年までかなと思いながら、ステージの階段を降りた。