ウガンダの常識 姓と名

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旅券にある姓(Surname)と名(Given name)。これをちょっと疑ってみよう。

私は以前、自動車の仕事をしていて、現在は旅行の仕事をしているので、人の名前を聞くことが多い。航空券を買うような人は、皆パスポートを持っているので、パスポート通りの名前で予約を入れれば良く、トラブルになることは少ない。しかし、自動車の登録名義ではトラブルが多かった。

ウガンダでは納税者番号みたいなものがないと、その人の名義で自動車を登録することが出来ない。なので、初めて自動車を買うお客さんの場合、納税者番号の取得から登録の手続きが始まる。で、ここで問題が起きる。

戸籍制度がないため、自分の正しい名前を認識していない人がいるのだ。女性で多かったのは、「リチャード君の母」という意味の「ママ・リチャード」が自分の名前だと認識している場合だった。ウガンダの多くの地域では、女性が子供を産むと、第一子の名前に「ママ」を付けたものが彼女の名前になり、その地域の人たちも尊重の意味も含めて「ママ・XXXXX」と呼びかける。

しかし、「ママ・リチャード」では納税者登録は出来ないため、私の名前は何でしょうとなるのだ。子供を産んだことを誇りに思う女性が、子供を産む前の名前に戻るのには抵抗がある、ということもあった。

ウガンダでは、家族で共有する「姓」を持たない地域が多い。現在、ウガンダ人の名前の組み合わせは、「宗教名」と「部族語名」であることが殆どだが、この「部族語名」が家族で共有するファミリー・ネームという意味合いではないことが多い。

辞書を引くと、「姓」は「その家の名」、「Surname」は「name shared by family」とあるが、ウガンダでは実際にはそういう意味合いではない名前が、「姓」として使われている。それでも、海外に出る場合を含め、「姓」と「名」が「なければならない」ことがあるので、実際には「姓」の意味合いではない「名前のひとつ」を仮に「姓」として用いている。

「姓」も「名」も区別がない文化なのに、その組み合わせを使わないといけない、そう理不尽に思うウガンダ人はいるのだろうか。私は聞いたことがない。

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