最近になって、初めて映画の「ダーウィンの悪夢」を見た。
私の正直な感想は、“この程度の映像でだまされるのか”だった。意図的に見ている人をいらだたせるというか、意図的に人を不快な思いにさせる映像だった。
始まりの空港の管制塔の蜂を叩き潰すシーン。蜂を何匹も準備して、苦労して撮影したのだろう。蜂のぶんぶん音と、それを叩く音で、観客をいらだたせて不快な気分にさせる。あんな映像はなくても、ナイルパーチ産業を描くことはできるのだから、確信犯的やり方で、その意味で成功している。また、作品全体の映像がぐらぐらで三脚を使っているようには見えず、これもわざといらいらを募らせるようにしているように思う。
それと、ナレーションを入れずに、個人の発言のみを編集している無責任さ。現場で撮れたものから、過激な発言のインタビューだけをつないだだけのように見える。ある誰かが過激な発言をした、その点は事実だろう。しかし、その発言の内容が本当のことであるかは分からない。その裏付けを一切せずに一般公開するのは無責任だ。近所の噂好きの人のお話を延々と撮影して、その端々を面白おかしく編集しているだけで、そこに公平性はない。あるのはその個人の主観と感情ばかりだ。だから、作者はナレーションを入れるなりして、裏付けをして、作品の公平性を保たなければならない。
彼が欲しかったのは、表面的な映像的な面白さだけだったのではと思う。ストリートチルドレンや魚を干す女性の表面的な映像的な面白さばかりを取り上げて、子供がなぜストリートチルドレンになったのかという背景、なぜこの女性たちが魚を干す仕事をするようになったのかという現実は描かない。映像的に面白くないから、関心がなかったのだろう。
90分作品にしては登場人物が多過ぎる、主人公になる人物がいない、話が転がらない、だからだらだらしてつまらない。私の場合、つまらないから途中で眠たくなったが、感想を書くために最後まで見た。
日本のテレビでもやらせがいろいろ問題になったが、CGなども発達して面白い映像はいくらでも「作れる」時代になっている。映像を見る場合でも、本や雑誌を読む場合でもそうだが、その真実性を常に疑い、自分なりの解釈をしなければならない、と思う。この映画が言ったから真実と鵜呑みにしては、この監督が近くにいた誰々さんがこう言ったから映画に使ったというのと、同じ結果になってしまう。