忘れられた運転手

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私は運転手を使うのが好きではない。

自分で運転をするのが好きなのと、運転手の運転はいらいらするのと、プライバシーがないのと、いちいち運転手と時間と場所を打ち合わせるのが面倒なのと、いろいろ理由はある。

しかし、その日は予め車の停まらないところにたくさん行くことが分かっていたので、運転手をお願いした。停められるところでも、いちいち駐車していては追い付かないくらい仕事が忙しかった。

カンパラの渋滞はひどくなるばかりで、夕方にあったお客さんとの約束にはぎりぎり間に合ったが。

お客さんとの打ち合わせは予想以上に時間がかかり、終わったのは1時間半後だった。これで、今日の外回りの仕事は終わり。後は事務所に戻って、事務仕事をやっつけるだけだ。カンパラの町をのんびりと歩きながら、事務所に帰った。

事務仕事を終えて、インターネットを見ていたら、外は既に真っ暗になっていた。家に帰ろうと思う。車の鍵がない。机の上、かばんの中、鍵入れ、どこを調べても出てこない。思い出した。今日は、運転手をお願いしていたのだ。彼が事務所に戻った時に、どこかいつもと違う場所に鍵を片付けたのでは。時は既に遅し、今さら運転手君を呼び戻すのも申し訳ないし。

タクシーを拾って帰ろうと思って、事務所を出た。おかしい。私の車がない。運転手君がどこかほかの場所に停めたのだろうか。いや、そうではないと思う。その日の運転手に電話をして、その確認をする。電話に出た彼は、今駐車場にいると言う。駐車場にいるのは、私の方だと思う。

思い出した。最後にお客さんにあった場所から、私は歩いて事務所に帰ってきていて、そしてそれを運転手君に伝えていなかった。運転手君の意味した駐車場は、お客さんと会った場所の駐車場なのだ。

しばらくして帰ってきた運転手は、お疲れ様と言って帰っていった。受け取った鍵を車に挿して、その車を運転して帰宅した。4時間も待たされて、おかしいと思わなかったのかな、彼は、と思った。

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