
突拍子もない話をするが、私はトマト・ジュースが好きだ。
日本で一人暮らしをした時は、朝食代わりに、よく缶入りのトマトジュースを飲んだ。あのどろどろとした液体が喉を通って胃に入る感じが良くて、それはただの飲み物とは思えず、何かしらの食事をしたような気になった。また、クリームパンやシュークリームとの組み合わせもとても良かった。
なので、私は飛行機の機内で飲むジュースもいつもトマト・ジュースだ。トマト・ジュースを飲む人はあまりいないのか、大体の場合は客室乗務員が新しいパックの封を切って、私にトマト・ジュースを注いでくれる。それもなんだか嬉しい。オレンジジュースは酸味がきつくて乗り物酔いをしそうだし、リンゴジュースは胃にはやさしそうだが、如何にも乗り物酔いを恐れているような感じがしていけない。炭酸飲料は、飛行機ではあまり飲まないようにしている。やはり機内でもトマトジュースが一番だと思う。
という感じで、カンパラでも時々トマトジュースが飲みたい、という気分になるのだが、残念ながらウガンダにはトマトジュースがあまり売られていない。レストランのメニューではトマト・ジュースは先ず見かけないし、小さなスーパーや地方都市でトマトジュースを見かけることは少ない。外国人の利用するスーパーでもトマト・ジュースを売っていないことが多い。
この前は、トマト・ジュースを探して、3軒目のスーパーでやっとパック入りのトマトジュースを見付けたのだが、デルモンテ社のトマトジュースで値段がとても高かった。トマトジュースを飲みたい気持ちと、ウガンダの物価にしては高過ぎるのではないかという思いの狭間に陥りながら、少し店内を歩いた。悩みながら歩いているうちに、冷蔵庫ではない棚に、もう少し安めのトマトジュースがあったので、それを買った。
とりあえず、家に持ち帰り冷やした。少し経って冷蔵庫を見てみると、トマトジュースがなくなっていた。後ろからメードがやってきて、早く冷えるように上に入れておきましたと言う。私のトマトジュースは冷凍庫に入っていた。そして、紙パックの上から触っても分かるくらい、サクサクとした感じで半分凍っていた。
第一にキンキンに冷えたトマトジュース自体おいしくないのに、君は私のトマトジュースを凍らせてどうするつもりだ、少し凍ったシャーベット状のトマトジュースを口の中で溶かしながら飲むのを私が喜ぶとでも思ったのか、私にはそんな趣味はない。トマトジュースは少し冷えているくらいが良いのだ。
怒り心頭であったが、トマトジュースくらいで怒っていると思われたくなかったので、怒らなかった。トマトジュースを飲むのも一苦労である。トマトジュースが溶けて飲めるようになるのに、結構な時間がかかった。