その日は、日帰りでナイロビ出張だった。
家を朝5時に出て、エンテベ空港6時チェックイン。その日に乗った航空会社は、チェックイン業務を他社に委託していているのか、現地の会社がチェックインの手続きをやっていた。男性係員二人の仕事ぶりは、アフリカが長い私からしても、目に余るような遅さで、やる気は一切なかった。その中の一人が、私に言った。「マスクの理由は?」。今、喉を痛めているのと、来週から通訳の仕事が入っていて、喋れなくなるのは致命的で、早く喉を治さないといけなかったのだが、その人の聞き方が、目に余るほど横柄だったので、彼を無視して返事はしなかった。このドアホが、朝から気分が悪いと思った。
飛行機は、定刻に目的地に着いた。イミグレに並ぶ。当時に到着した便が少なかったのか、人はまばらで長い列にはならなかった。私の番が来た。エンテベ空港でもそうしたが、イミグレで担当官にパスポートを渡すタイミングでマスクを外す。ここでマスクを外さないのは怪しまれる。担当官のおばちゃんが、「結婚は?」と聞く。普通、イミグレでこんなことは聞かれない。しかし、ややこしい時にややこしいことを聞くなーと思いながら、更にややこしくならないように、既婚だと答えた。おばちゃんが、後ろにいた若い見習いのような女性を指して、「この子に良い人を探してるんですけど。」と言った。間髪入れずに、その若い女性が、「おばちゃん、自分用に探してるんでしょ。」と言った。どうでもええわ、と思いながら、おばちゃんからパスポートを受け取り、空港を後にした。
日中かなり時間が空くのが分かっていたので、ホテルのデールームを用意していた。5時間も6時間も、延々とレストランで時間を潰すのは非現実的だし、少しでもホテルを体験しておくとお客さんに紹介しやすくなるので、少し費用はかかるが、最近は積極的にホテルを使うようにしている。そのホテルはナイロビ国立公園の目の前にあり、また部屋が10階だったので、目の前にはサバンナの風景が広がる。乾季のサバンナは殺風景な感じがした。そうこうしていると、ホテルをチェックアウトする時間になった。
部屋で食べたポテトチップスの精算を済ませ、ホテルを出る。受け付けの女性は、挨拶だけ日本語を話したが、なぜマスクをするのかを私に聞いてきた。今度は、ちゃんと本当の理由を言った。「ケニアがくさいから、マスクをしているのかと思った。」とその女性は言った。
空港で、チェックインを済ませ、今度は出国手続き。出国カードを探したがないので、空港職員に聞いたところ、ケニアでは今は出国カードの記入の必要はなくなったそうだ。入って真正面の担当官は、仕事中にかかわらず携帯電話で話していて、隣の担当官に行けと隣を指を指す。隣の担当官は、おばちゃんだった。鳥の巣のような髪型だったので、それは自毛なのかを聞いてみた。おばちゃんは、「違う違う、私はあなたみたいに髪は長く伸びないの。」と楽しそうに笑いながら言った。
夜10時、エンテベ空港到着。また、イミグレに並ぶ。担当官の女性が、指紋の機械に右手指4本を乗せろと言う。私が指を乗せて、機械も認識してオレンジのボタンが緑に変わっているのに、担当官がパソコン側でOKをクリックしないからだろう、なかなか指紋の認証が終わらない。腹が立つので、機械から指を離す。担当官が怒って、私が言うまで指を離すなという。再度、指を機械に指をあてがうが、また担当官が違う書類を見始めて、またオレンジが緑になっているのに放置される。腹が立つので、また指を離す。で、また、ヒステリックな担当官が、私が言うまで指を離すなという。それを、3-4回繰り返して、やっとウガンダの入国手続きが終わった。
明日からまた仕事だ、もういいやと思った。