人鏡

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私のような未熟者が言うと、人に笑われそうだが、人と話していて、その人には当然表情や態度がある訳だが、それは自分自身のそれの反射であり、話し相手には自分の姿を見る鏡のような要素があると思う。

それを、人鏡と呼んでみる。自分がいらいらしながら話せば、相手にもそれが伝播して、相手もそうなり、自分が笑顔であれば、相手もそうなる。

私の周りに、人鏡の代表みたいな方がいらっしゃり、その人の前に行くと、年齢や性別を問わず、いうなれば国籍や人種も問わず、皆が襟を正し、畏まって、良い子になって、楽しく話をする。普段は、いい加減な性格で、悪意を感じるような人でも、不思議とその人の前では、見事にその人を反射させるきれいな鏡になる。

私もその人の鏡になるのが大好きで、何度もお話を伺いに行った。資質、教養、人格、何をとっても、足元にも及ばず、私が彼の鏡になれる訳がないのだが、なったような錯覚を楽しんだ。

ただ、その人鏡の代表に会う機会が今後圧倒的に減ってしまうことが分かり、昨日から悲しみに沈んでいる。高齢を理由に日本に戻られることを決意されたらしい。私自身、早く日本に戻られた方が良いと思っていたにも関わらず、実際にそれが現実として目の前に現れ動揺している。

日本まで行かないと柏田節が聞けなくなるのかと思うと淋しい思いで一杯だが、今回また一期一会という言葉の重さを感じた。今後、直接反射させる機会は減る訳だが、これからも極力彼の鏡であり続ける努力をしようと思った。

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