2016年2月18日に行われたウガンダの大統領選挙の結果が、先ほど発表されました。現行大統領のムセベニが、60%の得票率にて5期連続の勝利を収めました。任期は2021年までなので、1986年の政権奪取から計算すると、35年間のかなりの長期政権となります。
少し長話になりますが、先ず、少し独立当時からのウガンダでの選挙関連の流れを見てみましょう。
ウガンダの独立の年、1962年に行われた選挙の結果、建国いきなり2位と3位の2政党での連立政権がウガンダで誕生しました。カトリックを基盤とする政党が、選挙で46%を得票して1位になりながらも、政権をとれなかったのは、宗主国の英国の意図が大きく反映された結果なのではないでしょうか。
このようなややこしい背景の中で誕生したウガンダですが、1966年にオボテが、1971年にアミンがいずれもクーデターを起こして、大統領に就任します。1979年、オボテがタンザニア軍と共にウガンダに侵攻して政権をとり、1980年にウガンダ独立以来初めての選挙が開かれ、不正行為の批判を受けながらもオボテが2回目の大統領に就任しました。今でも、この選挙結果は偽りだったというのが、ウガンダ人の共通の認識です。
この1980年の選挙でたった4%しか得票できず、敗者となったのが、現行大統領のムセベニでした。彼は、この不正選挙に抵抗すべくゲリラ活動を始め、1986年1月に内戦に勝利し、大統領となりました。
では、次に、ムセベニ大統領が勝利した5つの選挙を少し振り返ってみたいと思います。
開催の年/投票率/ムセベニの得票率/2位の得票率
1996年/72.9%/74.3%/23.6%(セモゲレレ)
2001年/70.3%/69.3%/27.8%(ベシジェ)
2006年/69.2%/59.3%/37.4%(ベシジェ)
2011年/59.3%/68.4%/26.0%(ベシジェ)
2016年/63.5%/60.1%/35.4%(ベシジェ)
http://africanelections.tripod.com/ug.html
ムセベニが大統領になって10年目の年1996年に大統領選挙が行われ、これがウガンダ独立後初めての公正な選挙とのことで、この選挙はキャンペーン中も大いに盛り上がりました。それが、投票率に反映されています。この時のムセベニの謳い文句は「ノーチェンジ」で、街中で皆が「ノーチェンジ」と声をあげ、お店でお釣りがない時にも皆「ノーチェンジ」と言っていました。公正な選挙に参加できることへの皆の喜びは、今でも忘れることができません。当時のムセベニは、20年以上混乱が続いたウガンダに、長期的な平和をもたらした立役者として、絶大な人気を誇っていました。
で、その後4回の大統領選挙が開かれ、いずれもムセベニが勝つ訳ですが、投票率は下がり、キャンペーン活動にも以前のような盛り上がりや人々の関心の高さは見られなくなりました。そういう背景もあり、今回の選挙も、かなり早い時点でムセベニの勝利は間違いなしとの前評判があった中、私の関心事は投票率でした。
1996年は選挙に参加できる喜びから多くの人が投票したものの、その後投票率が下がり続けたことは、わざわざ休みの日に投票所まで行ってまで、何かを変えたいというような危機感がない、現政権への満足感との反比例で、平和な時代のさほど悪くない傾向と理解しています。
それに対し、2位の候補者、第一位敗者への投票は、他の有力候補者が元与党党員であったり、また独自の政策ももたないことから、前向きに野党を選んだというよりは、取り敢えず反与党的な意味合いが強いと考えています。
そういう捉え方から考えると、2016年の選挙は2011年よりも、現政権への満足度が少し下がった結果、政治への関心が高まり、反ムセベニ傾向が強くなったということなのだと思います。現在、ウガンダにムセベニを超える政治家はいないと個人的には考えていますが、現政権への厭きが高まっているのでしょう。
ただ、ウガンダに限らずアフリカはどこでもそうなのですが、治安面で選挙の度に冷や冷やさせられるのには閉口します。要するに、選挙制度を用いる基盤がアフリカにはないと思うのですが、それに関してはまた近々書いてみようと思います。