
自宅の本棚の整理をしていて、紙の辞書が余っていたので知人にあげた。知人曰く、紙の辞書はとても使いやすいとのことで、私も久し振りに紙の辞書を開いてみることにした。
今世紀になって直ぐのこと、某局看板番組ともいえる社会番組に携わり、いろいろと知らない単語も出てくるだろうと思い、辞書を持って現場に出たのだが、通訳の現場で紙の辞書を広げるのは当時の日本人にはひどく痛々しく見えたようで、番組の関係者が彼の私物の電子辞書を私にくれて、それで私も電子辞書の便利さを知り、それ以来手放せない仕事道具の一つになっている。
で、10何年振りに紙の辞書を使ってみた感想。とにかく面積が広い。分厚くて2千ページ近くもあるのだから当然といえば当然なのだが、紙面がとにかく広いので、前後の単語、例文、名詞の場合、動詞の場合など全てを一目で見ることができる。電子辞書では、こうはいかない。取り敢えず、見出しがたくさん出てきて、それを開いても画面には同時にせいぜい10行程度しか出てこないので、何度もスクロールをしなければならず、一つの単語の意味から例文まで一目で一気に見ることはできない。
しかも、紙の辞書は前後の類似単語、全く関係ない単語も見ることができて、挿絵まで入っている。しかも、見ているのが紙だ。私は未だに電子画面があまり好きでなく、よほど技術が進化しない限りは、紙の本を読むつもりだし、メールやウェブサイトもじっくり読みたい時は、ちゃんと紙に印刷してから読む。そうすると、A4の紙を机の上に並べるなり、壁に張るなりして、5枚でも10枚で同時に見ることができる。面積が限られているパソコンの画面では、絶対にできない技だ。しかも、電子画面でないので、目がちかちかしない。
ということで、携帯性以外は紙の辞書に分があることが分かったので、自宅なり事務所では今後紙の辞書を使おうと思った。あと、なぜ私が英英辞典でなくて、英和辞典を使う理由は、英和辞典には和訳の単語が書いてあるから。英語を英語のまま理解しても、おそらく誰もお金をくれないが、つたなくともアフリカで英語を日本語にすると誰かしらお金を払ってくれる。通訳の時に、間髪入れずに自信をもってぴったりの日本語単語を選ぶように、紙の辞書の紙面をじっくりと読む。つたないながら、私は言語が好きだと思った。