今までに、肺結核、レプトスピラ症、ブルセラ症、住血吸虫、H1N1、マラリアなどの感染症にかかったことのある私だが、必然的にその都度患者レベルながら感染症の勉強してきた。マラリアに関する思い出深い話を書いてみる。
僻地に長期間滞在するお仕事をする際の出来事。体調を崩しても直ぐには病院には行けないような環境だったため、その仕事に携わる皆の健康管理をしようということになり、当地で最も一般的な感染症であるマラリアの検査を毎週1回行うことにした。マラリアは早期発見と早期治療をすれば、ちゃんと治る反面、治療が遅れると大変なことになるからだ。マラリアの検査キットを持参して行き、週1回の検査で、陽性が出たら直ぐに業務から離れ、治療に専念してもらうことになっていた。
で、最初の1週間が過ぎて、初回の検査を行った。残念ながら、主要メンバーの多くが陽性だった。交代要員をどうしようかなどの相談をしてみたところ、陽性だった全員が体調はいつも通りで異常がないため、仕事を続けることができると言う。いわゆる潜伏期間にあり、近々症状が出る可能性を伝え、少しでも症状が出たら、直ぐに治療薬を服用し、業務から離れ病院に行くことを確認した上で、業務を続けてもらった。
で、誰も体調を崩すことなく、1ヶ月間の業務を終えた。因みに、持参したマラリア検査キットは病院でも使用しているもので、精度はかなり正確だ。要するに、陽性だった彼らは感染者でありながら、病状の発症がなく患者にはならなかったということなのだろう。
マラリア原虫を持った蚊がヒトから血を吸う時に、マラリア原虫をヒトの体内に入れる。この時点ではまだマラリア感染していない。原虫が肝臓に到着した後に増殖して、初めてマラリアに感染したことになる。ただ、慣れているのか、免疫力が強いのか、上記の彼らは感染しながらも発症しなかった。
検査結果を信用するならば、彼らはマラリアに感染していて、体内にマラリア原虫を保有しているので、自身は発症しないまでも、彼らの血を吸った蚊が、また誰かの血を吸ったらそのヒトはきっとマラリアに感染するのだろう。なので、蚊という媒介者からマラリア原虫をもらいつつも感染に至らない場合、感染しつつも発症しない場合、自分は発症しないが蚊経由で他人には感染させる場合などがあるようだ。
コロナについても調べてみようと、ネットで調べてみたところ、PCR検査の陽性は必ずしも感染を意味しないようだ。個人的な推測だが、無症状者というのは、なんらかの形で一旦ウイルスが体に付着なり混入し、PCR検査でウイルスのRNAが検出され陽性でありながら、実際には感染に至らなかった人、または発症に至らなかった人を意味するのだろう。これだけ世界中が混乱に陥る中、科学的な解説が殆ど出てこないのはなぜだろうと不思議に思う。