大統領選挙が終り、結果が発表されました。
モニター紙 2021年1月16日
ムセベニ58.6%で選挙を勝利
Museveni wins election with 58.6% – Daily Monitor
現行のムセベニが58.6%の得票率で大統領に再選されました。1986年から2026年までと40年の長期政権になります。コロナの影響もあってか、投票率は57.22%と低い中、今回初めて大統領選挙に出馬したキャグラニが34.83%を得票しました。過去6回の大統領選挙の結果は下記の通りです。
開催の年/投票率/ムセベニの得票率/2位の得票率
1996年/72.9%/74.3%/23.6%(セモゲレレ)
2001年/70.3%/69.3%/27.8%(ベシジェ)
2006年/69.2%/59.3%/37.4%(ベシジェ)
2011年/59.3%/68.4%/26.0%(ベシジェ)
2016年/63.5%/60.1%/35.4%(ベシジェ)
2021年/57.2%/58.64%/34.83%(キャグラニ)
次に、国会議員の選挙結果です。
与党NRMの公認候補者からの当選者が316人で議席数の63.45%を占め、野党の合計が109人で21.88%でした。残り73人が独立候補者ですが、そのうち60人が公認を受けなかったNRMの党員の当選者のようです。大統領選挙での得票率が低かったものの、国会議員の選挙では、NRMの圧勝でした。
今までの選挙でも都市部ではムセベニが不利、農村ではムセベニ有利という傾向があり、今回もその傾向があったのですが、今回の選挙の特徴は民族主義が投票結果に数字で表れたことでした。キャグラニの出身地であるセントラル地区において、大統領選挙ではムセベニ大統領の得票率が35.91%、キャグラニは62.01%、国会議員の選挙ではNRMが37議席35.57%、NUP56議席53.84%と、キャグラニと彼が党首を務めるNUPが善戦しているのに対し、他の3地区ではムセベニとNRMの圧勝でした。
このように民族主義が数字に表れ、一つの国なのだから民族主義は捨てて一つの国として機能しないといけないという考え方がありつつも、独立から50年以上経った今でもアフリカの多くの国で民族的な考え方はなくならず、それは一つの事実であり、第三者によって植民地なり保護領という形で作られた国が、そのまま国として独立したアフリカの国々の抱えるジレンマなのでしょう。民族主義はアフリカの悪しき文化と捉えられることが多いのですが、そのジレンマを引き起こしたのは彼ら自身ではなく、それを彼らの責任にして彼らにその解決を求めるのは酷に思うこともあります。ただ、今ある国を捨てて昔の民族単位の生活に戻ることはできないでしょうから、この現実とアフリカは向き合っていくのでしょう。