1988年に10歳前後で誘拐され、神の抵抗軍の幹部になり、2015年に逮捕されていたドミニク・オングウェンに、ICCが有罪判決を下しました。この事件はいろいろな側面から論争になることがありました。
今回は、判決後の記事2本と、逮捕後の記事10本で、この事件を振り返り、次回私が思ったことを書きます。
*「神の抵抗軍」をご存知ない方のために、WikipediaのURLを紹介します。英語版を和訳した方が多くの情報を得ることができます。
モニター紙 2021年2月4日 ICC、ドミニク・オングウェンに戦争犯罪に有罪を下す
ICC finds Dominic Ongwen guilty of war crimes – Daily Monitor
元神の抵抗軍の司令官のドミニク・オングウェンに対し、戦争犯罪、人道に反する犯罪においてICCが有罪を下したとの記事。ドミニクは9歳の時に神の抵抗軍に誘拐され、精神的な損傷があったとの弁護は退けられたよう。
モニター紙 2021年2月5日 オングウェンの家族、神の抵抗軍の被害者、判決に異なる反応
Ongwen family and LRA victims differ on verdict – Daily Monitor
有罪に対し、殺人行為は強制されて行ったものだったため公平と言えない、もし帰国したら、切り刻まれて殺されるだろう、など様々な地元民の声が取り上げられている。
ここからは逮捕当時の記事です。
BBC 2015年1月7日 神の抵抗軍、ドミニク・オングウェン、中央アフリカの米軍に降伏する
LRA rebel Dominic Ongwen surrenders to US forces in CAR – BBC News
モニター紙 2015年1月6日 神の抵抗軍の幹部オングウェンが降伏
LRA chief Ongwen surrenders – Daily Monitor
2015年1月6日にドミニクの身柄が拘束されたとの記事。中央アフリカでの戦闘中に逃亡しようとしたところを捉えられ、同国米軍に引き渡された。この時点ではウガンダはウガンダにて彼を裁判にかけることを希望している。
大統領官邸 2015年1月13日 大統領、人道に反する犯罪を犯した反逆軍に特赦をしない
ドミニクに特赦が与えられるとの情報を否定する発表。政府ではなく、一般人を対象に犯罪を犯した者には特赦は与えないとの内容。
モニター紙 2015年1月14日 神の抵抗軍のオングウェン、ウガンダ軍に引き渡される
LRA’s Ongwen handed over to UPDF – Daily Monitor
米軍がドミニクの身柄をウガンダ軍に引渡したとの記事。また、ドミニクを国際刑事裁判所(ICC)へ移動させる前に中央アフリカ政府に引き渡すとの内容。(私見)ドミニクはウガンダ人で、逮捕状を出しているのはICCで、逮捕された場所は中央アフリカで、投降先は米軍ということで、複雑な背景があった。
モニター紙 2015年1月17日 ドミニク・オングウェン、ICCでの裁判へ行く
Dominic Ongwen off to ICC for trial – Daily Monitor
中央アフリカ当局はICCがドミニクをハーグの本部へ護送する手続きを行ったとの記事。ドミニクが銃撃戦の後に中央アフリカの反逆軍によって捕まったのは1月3日、1月5日に米軍に引き渡したなど情報の書かれている。
モニター紙 2015年2月2日 司法長官、ウガンダはオングウェンを救うことができない
Uganda can’t save Ongwen – Attorney General – Daily Monitor
ウガンダの司法長官が、ドミニクは国境を跨ぐ犯罪を犯したことを理由に特赦の機会を排するとの記事。同時に、ドミニクと被害者の属するアチョリ民族の伝統的な司法による和解の機会も排するとの内容。ウガンダで裁判を行うこともできるが、ドミニクはコンゴ、南スーダン、中央アフリカと複数の国で犯罪を犯しており、全ての関係国が同意した通りICCによって裁かれる方が良いとも書かれています。
モニター紙 2015年2月13日 ICCウングウェンの事件をコニーの事件から切り離す
ICC separates Ongwen’s case from Kony’s – Daily Monitor
ICCは2005年に神の抵抗軍の5名に対し逮捕状を発行していたものの、逮捕時に発行から10年経過していること、1名が死亡し、他の3名が逮捕されていないことを理由に、リーダー核のコニーを含む主要な事件とは切り離すとの記事。
モニター紙 2015年9月11日 ICC、神の抵抗軍の審問をウガンダで行うと主張
ICC urges LRA rebel hearing to be in Uganda – Daily Monitor
ICCがドミニクの審問は、犯罪の現場に近いウガンダ北部にて行うべきと主張したとの記事。また、連名で起訴されていた1名の死亡が確認され、逮捕されていないの2名になったが、内1名は非公式に死亡の報告があるとのこと。
モニター紙 2015年10月30日 ICCウガンダでのドミニクの審問を取りやめる
ICC drops plan to have Ongwen tried in Uganda – Daily Monitor
ICCがウガンダ当局と協議し、同時期に大統領選挙を予定していて、それが裁判に影響を及ぼすだろうことを懸念し、ウガンダでの審問をあきらめハーグで審問を行うことを決めたとのこと。
モニター紙2016年1月25日
Former LRA abductee pleads forgiveness for Ongwen – Daily Monitor
同じく神の抵抗軍に誘拐され、従軍の経験を持つ帰還者が、ドミニクが許されることによって、ジャングルの中の幹部も投降しやすくなる、我々帰還者で許しを得た者もいると、ドミニクが許されることを希望するとの発言をしたとの記事。同時、犯罪への責任があるとの声も取り上げられている。
次回に続く。