アディスアベバ空港に到着したのは、午前4時45分ごろだった。まだ、空港には殆ど人がいない。仮眠用のベッドもガラガラだ。熟睡しないためにか硬い素材だが、横になると少し楽だ。携帯を空港のWifiにつないで、メールチェックするが、こんな時間にメールは来ない。
周辺を見ると、ベンチシートで毛布に包まって寝ている人が何人かいた。肘掛なしのベンチシートはフルフラットで気持ちが良さそうで、私もそちらに移動しようかと思うくらいだった。しかも、その一人は航空会社の毛布に包まっていて、機内用の毛布を持ち出してきたのだろうか。
ベンチで休んでいた掃除のおばちゃんが、ベンチシートで横になって寝ている人たちを一人ずつ起こしていく。やはりベンチシートで寝るのは禁止されているようだ。私もベンチシートでフルフラットで寝ていたら、おばちゃんに注意されていただろうから、こちらの簡易ベッドにいて良かったと思った。
しかし、このおばちゃんは起きなさいとか、ここで寝てはいけませんなど言うわけではなく、皆を少し突いて注意を促すだけだ。そして、注意を促したら、どこかに歩いて行ってしまった。少しして、寝ていた人たちは、めいめいゆっくりと眠たそうに起きてきた。皆が立ち上がってきたところで気付いたのだが、皆掃除のおばちゃんと同じ制服を着ていて、起こされた人たちは皆同じ会社の人だったのだ。どうやら5時くらいが始業時間だったようで、各自めいめい清掃の仕事を始めた。
アディスアベバ空港は、少し前までは場内放送もまともに聞こえず、トイレも簡易で、セキュリティーチェックには常に長い列があってと問題の多い空港だったが、拡張工事が終わったのか今ではすっかり快適に使えるようになった。
ちなみに、エンテベーアディス・アベバ間のエチオピア航空はほぼ満席だった。皆マスクはしているが、ソーシャルディスタンスなぞ一切ない。というか、最近ソーシャルディスタンスという言葉を聞かなくなった。
だんだんと空港に人が増えてきた。アディスアベバは標高が高く朝は冷えるためか、冬服を着ている人も多い。それまで半袖を着ていた私も少し寒くなって上着を着た。熟睡して乗り継ぎに失敗しない程度に仮眠を続けることにした。