アフリカ回想録2022 出産

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我が家の第二子、長女の出産の時の話。もういつ生まれてもおかしくないという状態で前妻が入院したのだが、泣き言やわがままを言うなど、病院で迷惑をかけていたようだ。私は、朝、昼、夜など時間が空いた時に様子を見に行ったのだが、看護婦さんも蓄積するものがあったのか、出産は誰にも頼ることはできない、自分が頑張るしかないのだなどなど、ある時、彼女を叱りつけていた。その矛先は私にも向けられ、あなたが頻繁に病院に来るのがいけない、出産が終わるまでは病院に来なくて良いとのことだった。

確かに、その病室には私以外の男性はおらず、私を入れたのは外国人だからと特別だったようだ。アフリカは文化的に男女分業の傾向が強いが、出産は正しく女性のそれで、基本的には男性は入らないようになっているようだった。翌日か翌々日、無事出産を終え、看護婦さんは笑顔で私を迎え入れてくれた。

そうやって生まれた子供は既に成人していて、時代が変わったし、且つウガンダの病院の全ての看護師さんがこのような態度をとるわけではないと思うが、善し悪しではなくて、異なる文化や価値観がそこにはあって、看護婦さんには彼女の持つアフリカの女性像があって、おそらく出産の際も取り乱さないような強い女性が、きっと彼女の思う女性像なのだろうと思った。

現代の日本人がこの話を聞いてどう思うだろうか、日本人にも明治時代や昭和も戦前はこのような考え方だったのだろうか。私はこの看護師さんのことを確固たる自己を持つ女性と考え、彼女に悪い感情を持つことはなかった。

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