アフリカ回想録2022 高齢者の見たウガンダ1

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今まで私の見たアフリカの人のことを書いてきたが、今回はアフリカに来た日本人のことを書いてみる。予めアフリカのことを勉強してくるのは良いが、何事も学んだことの延長上に見てしまい、目の前のことを先入観なく純粋な主観で捉えられなくなるのは、なんとももったいと思う。反面、なんの予備知識もなく、先入観のない自分の主観でアフリカを捉えた方の意見が興味深かった。

一人目は第二次大戦の戦後に少年時代を過ごした男性の話。地方都市への移動中に、その男性と道中の小さな町で休憩した。子供たちが集まってきて、最初は遠巻きに見ていたのだが、だんだんと近付いてきて、「ギブ・ミー・マネー」と言い出した。これはウガンダの常識でよしとされない行為で、ウガンダの成人が見付けたら間違いなくそれを止めるのと知っていたので、私はその子供たちにそう言うのを止めるよう言った。

その男性は私を止めた。彼は「ギブ・ミー・マネー」で良い、彼自身が子供の時に米兵に向かって「ギブ・ミー・チョコレート」って言っていたんだとのこと。更に、「お腹が減っているのに、行儀もへったくれもあるかい。」というようなことを言っていた。英語の一切できない男性は、笑顔で子供たちに日本語でいろいろと話しかけ、お金は渡さずにその場を去った。

私自身、決して裕福な家庭で育ったわけではないが、高度成長期のあとに生まれ育った世代なので、この初老の男性が戦後に経験したような大変な時代を体験していないし、目の前にいる子供たちよりも間違いなく恵まれた環境で育っている。この子供たちと初老の男性には分かって、私には分からない感情があるのだろうと思った。

それからは、私は「ギブ・ミー・マネー」をあまり注意しないようにしている。

下記はこの出来事の直後に書いたブログです。

「ギブ・ミー・マネー」でええ。

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