学期休みで寮生活から帰ってきている子供たちと映画を見に行く。上の二人は既に成人していて、下の二人も高校生と中学生で、この子たちとこうやって一緒に映画を見に行けるのは、あと何年くらいなのだろうか。
観る映画と映画館は子供たちが予めネットで調べていて、今回初めて行く映画館だったのだが、土曜の夕方ということもあり、とても混み合っていた。学校が休みということもあり、若い人たちが多かった。一様に皆楽しそうでわくわくしている感じで、がやがやという声も大きめで、個人的な主観ではあるが、コロナ前は映画を観に来る人たちがこんなにも楽しそうにはしていなかったように思う。因みに、マスクをしている人は私以外誰一人いなかった。
私は映画館には時々行くようにしていて、映画を観ることもそうだが、映画を観る人たちを見るのも目的で、皆が映画を観て、どっと笑ったり、歓声を上げたり、嘆いたり、ホラー映画で声を出して怖がったり、一緒を映画を観ていると、彼らがどんな人たちなのかが理解できてとても興味深い。
チケットを買って、観に来た映画の上映室に入る。縦長でスクリーンはやや小さめ、満席にはならなかったが、8割くらいはお客さんが入った。観に来た映画は「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」で、アフリカ関連の娯楽映画ということでお客さんも多いのだろう。1作目を観ておらず、以前にあった映画の続編ということ以外はなにも知らないまま映画を観始めた。
予想以上に長い映画だったが、上映中ずっと劇場は静まりかえっていた。ところどころ笑い声はあったが、観客がどっと笑ったり、歓声を上げることもないままだった。今までウガンダ人の、他のアフリカ人の心を映画が鷲づかみにして、劇場が興奮のるつぼと化すのを何度も見てきたが、この日はそうならなかった。文化的に他のお客さんに気を使ってということではないし、映画がつまらなかったのだと思う。
映画館の出口でぶら下がりのインタビューをして、盛り上がらなかった理由を観客に聞きたかったが、そんなことができるわけもなく映画館を出た。私の想像でしかないが、アフリカ人が色物扱いされていることに対しての違和感、こういう風に見られているのかということへの残念な気持ちがあったのではないのかと思う。外から見るアフリカと内から見るアフリカの違いというのは常々気になるところだが、それに接した感じだった。
どういう結果であれ、やはり映画館で映画を見るというのは得るものがあるなと思い、またこれからも映画館で映画を観ようと思いつつ帰路についた。